構造設計の道しるべ

構造設計ってどんな仕事?
建築工学を学ぶ学生さんたちにとって「建築構造学」と聞いただけで、睡魔が襲ってくるのではないでしょうか。
いつの時代でも同じかもしれません。
しかし、この分野は特化しているからこそ奥が深い分野であることも事実です。
1つの建築物が完成するまでには、構造以外にも意匠(デザイン)、設備(空調、電気、給排水)、さらには積算や施工といった様々なプロセスがありますが、その中でも構造はすべてのプロセスの中でもその名の通り骨組みとなる大切な仕事です。
建築構造の話を少しだけ
地味でそれでも「縁の下の力持ち」的な存在である建築構造は、極めれば極める程、新しい発見があるのも事実です。
数字を追いかけることだけを連想しがちな分野ですが、実際はそうではなく、特に楽しいと感じるのは、「想像力(外力に対する建物の挙動)」が掻き立てられるところにあるように思います。
意匠設計で言うところの「創造力(新しいものを作り出す)」とは、書いて字の如く、意味合いが異なります。
「建築構造=想像」とは、まだ誰も経験していないことを推し量る、この一連の作業が主体となっているということです。
その為に様々な文献に触れては、実務の中で徐々に習得していく事になります。
主に「地震」がこの分野の主役にならざるを得ないのですが、人によっては、5、60年間に一度起こるかもしれない大地震のことを説明しても、あまり親身に考えようとはしません。
仮に大地震があっても数か月後には、多くの人は忘れてしまい、「喉元過ぎれば・・・」状態になってしまいます。
そういう意味から、私たち構造設計者は、常に人々に対し、「建物の耐震性能(大地震から得た教訓)」を警鐘していく必要(義務)があります。
地元産業の中心的存在として活躍できたら良い
建築分野を専攻する学生や卒業生の皆さんは、「建築」というものをどのように捉えているのか、私たち実務者からすると、とても興味があります。
ただ良い就職先を求めていても、実際その仕事が本当に自分のやり甲斐のある仕事なのか、それは容易に知ることはできません。
長年育んだ地元から飛び出して、新天地で頑張るも良いでしょう。人生経験だからと言って、全く知らない土地で学ぶことも必要かもしれません。
一方で、住み慣れた地元の本当の良さを探し続けながら、大好きな仕事に就けたら、これ以上の喜びはないかもしれません。
そして、県や市町村のバックアップ機能が発揮され、かつ私たち実務者との接点がより深まっていけば、今まで現実味の無かった様々な事が目の前に現実となって現れてくるかもしれません。
皆さんと私たち実務者が同じ地元で生活しているからこそ、お互いが育み、成長できるものと思います。
私たち実務者がより一層、積極的にこのことに向かい合う必要があるのだと思います。共に地元で切磋琢磨しながら成長していきたいものです。
これからの構造設計
最近では、構造設計業務でもBIMを使う機会が増えてきています。
BIMとは「Building Information Modeling」の略で、コンピューター上に作成した3D建物モデルに様々な情報を持たせることで、情報を一部修正するだけで関連する情報が変更され、図面なども自動生成することができるようになってきています。
構造設計におけるBIM活用方法の1つとして、構造躯体、鉄筋情報を3Dモデルとして生成して利用することがあります。
これからの構造設計では、この構造躯体や鉄筋モデルを使用して、意匠や設備、さらには施工BIMなどとの連携を行うような構造BIMモデルを積極的に利用した構造設計が実現していくことで構造設計という仕事が学生など若い方にとってより親しみやすい仕事へと変わっていくのではないかと思います。

画像提供:株式会社ソフトウェアセンター